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保育士試験で出る法令文を5つの手順でカンタンに読む!

保育士試験では法令を参照する場面が多いですが、法令文は読みにくいですよね。
そこで、法令文を5つの手順で簡単に読む方法を教えます。

原文の穴埋め問題も多く出題される法令文。
苦手を克服して、大きく一歩前進しましょう!

ここでは、e-Govポータル(デジタル庁が運営しているサイト)を利用して法令文を読みます。
児童福祉法 | e-Gov法令検索
目次がついていて読みやすいのでおすすめです。

保育士試験に関する法令文をカンタンに読むコツ

条文をカンタンに読むにはコツがあります。

文中から「何が」「何を」「どうするのか」

これを見つけるのです。

「何が」「何を」「どうするのか」をカンタンに見つけるための5つの手順を解説します。

法令文をカンタンに読む手順は次の5つ

  1. 1行目で「何について」書かれているのかを見つける
  2. 文中のカッコ( )と〇条〇項を省いて読む
  3. 接続詞を変換して読む
  4. 並列部分を見つける
  5. 「何を」「どうするのか」を見つける

ノートに書きだして一緒に補助線を引きながら書き込みをしてみましょう。
より分かりやすくなります。

法令文を実際に読んでみる(例文1)

まず、e-Govポータル(デジタル庁が運営しているサイト)を利用して法令文を読みます。
児童福祉法 | e-Gov法令検索

「目次」から「第三十三条の十」を見つけてください。

目次はスマホの画面では、下部の「目次・沿革・詳細」を選ぶと表示できます。

児童福祉法 第三十三条の十

この法律で、被措置児童等虐待とは、小規模住居型児童養育事業に従事する者、里親若しくはその同居人、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設の長、その職員その他の従業者、指定発達支援医療機関の管理者その他の従業者、一時保護施設を設けている児童相談所の所長、当該施設の職員その他の従業者又は第三十三条第一項若しくは第二項の委託を受けて児童の一時保護を行う業務に従事する者(以下「施設職員等」と総称する。)が、委託された児童、入所する児童又は一時保護が行われた児童(以下「被措置児童等」という。)について行う次に掲げる行為をいう。

e-Gov法令検索「児童福祉法」

「第三十三条の十」を見ると、そのすぐ上に「第七節 非措置児童等虐待の防止等」と書いてありますね。

このように、条文は「節」によってグループ分けされ、タイトルが付けられています。
これで、読む条文が「非措置児童等虐待の防止等」について書かれていることが分かります。

また、条文の一行目には「この法律で、被措置児童等虐待とは、」とありますね。
これで「非措置児童等虐待の防止等」のうち、「非措置児童虐待」について説明されていることが分かりました。

この条文を読むとき、「非措置児童等虐待とは、…」を冒頭において読みます。

1.「何が(は)」の部分を見つける

条文にざっと目を通すと、ひとつだけ「が、」が見つかりました。

「が、」より前の部分が主語にあたります。

一文がとても長いので一見すると分かりにくいですが、「が、」より前の部分には、読点「、」や「若しくは」などの接続詞でつながれた複数の語が示されています。

2.文中のカッコ( )と〇条〇項を省いて読む

次に、文中のカッコ( )と〇条〇項を省きます。

語句の条件や解説が書かれていますが、ここでは文章の大筋を理解することが目的なので、細かい条件については飛ばしていきます。

カッコ( )と〇条〇項の部分を省きます。

省く箇所に打ち消し線

この法律で、被措置児童等虐待とは、小規模住居型児童養育事業に従事する者、里親若しくはその同居人、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設の長、その職員その他の従業者、指定発達支援医療機関の管理者その他の従業者、一時保護施設を設けている児童相談所の所長、当該施設の職員その他の従業者又は第三十三条第一項若しくは第二項の委託を受けて児童の一時保護を行う業務に従事する者(以下「施設職員等」と総称する。)が、委託された児童、入所する児童又は一時保護が行われた児童(以下「被措置児童等」という。)について行う次に掲げる行為をいう。

これで次の形になりました。

変換後

小規模住居型児童養育事業に従事する者、里親若しくはその同居人、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設の長、その職員その他の従業者、指定発達支援医療機関の管理者その他の従業者、一時保護施設を設けている児童相談所の所長、当該施設の職員その他の従業者の委託を受けて児童の一時保護を行う業務に従事する者が、委託された児童、入所する児童又は一時保護が行われた児童について行う次に掲げる行為をいう。

3.接続詞を変換して読む

次に接続詞を変換して読みます。

ここで変換するのは次の4つです。

  • 「又は」…「か」に変換 (読点「、」で並列された最後の語句の前に付くこともある)
  • 「若しくは」…「か」に変換
  • 「並びに」…読点「、」に変換
  • 「及び」…読点「、」に変換

「又は」と「若しくは」、それから「並びに」と「及び」は、同じ意味として変換していますが、正確にはそれぞれ意味が違います。ここでは大筋を読むために、同じ意味として扱います。

「又は」は、読点「、」によって並列に並べた最後の語句の前に付くこともあるので、「か」に変換するのか、「、」に変換するのか、前後の関係から判断します。

この分中では「又は」は「、」に変換します。

変換してみると次のようになります。

変換前

小規模住居型児童養育事業に従事する者、里親若しくはその同居人、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設の長、その職員その他の従業者、指定発達支援医療機関の管理者その他の従業者、一時保護施設を設けている児童相談所の所長、当該施設の職員その他の従業者の委託を受けて児童の一時保護を行う業務に従事する者が、委託された児童、入所する児童又は一時保護が行われた児童について行う次に掲げる行為をいう。

変換後

小規模住居型児童養育事業に従事する者、里親かその同居人、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設か児童自立支援施設の長、その職員その他の従業者、指定発達支援医療機関の管理者その他の従業者、一時保護施設を設けている児童相談所の所長、当該施設の職員その他の従業者の委託を受けて児童の一時保護を行う業務に従事する者が、委託された児童、入所する児童、一時保護が行われた児童について行う次に掲げる行為をいう。

4.並列部分を見つける

次に「並列部分」を見つけます。

読点「、」で並べられた語句をそれぞれ箇条書のスタイルに変換します。

このとき、「が、」より前の部分と後の部分で分けて考えます。

①…「が、」より前の部分

  • 小規模住居型児童養育事業に従事する者、
  • 里親かその同居人、
  • 乳児院、
  • 児童養護施設、
  • 障害児入所施設、
  • 児童心理治療施設か児童自立支援施設

の長、その職員その他の従業者、

  • 指定発達支援医療機関

の管理者その他の従業者、

  • 一時保護施設を設けている児童相談所

の所長、当該施設(→「一時保護施設を設けている児童相談所」)の職員その他の従業者の委託を受けて児童の一時保護を行う業務に従事する者

②…「が、」より後ろの部分

  • 委託された児童、
  • 入所する児童、
  • 一時保護が行われた児童

について行う次に掲げる行為をいう。

この作業によって、
①が、②について行う次に掲げる行為をいう。
という、シンプルな構図が見えましたね。

このなかで、

  • 「乳児院」
  • 「児童養護施設」
  • 「障害児入所施設」
  • 「児童心理治療施設か児童自立支援施設」

の4つが、次に来る「の長、その職員その他の従業者、」にかかっているのが分かりますか?

これを整えると次のようになります。

変換後
  • 小規模住居型児童養育事業に従事する者、
  • 里親かその同居人、
  • 乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設か児童自立支援施設の長、その職員その他の従業者、
  • 指定発達支援医療機関の管理者その他の従業者、
  • 一時保護施設を設けている児童相談所の所長、職員その他の従業者の委託を受けて児童の一時保護を行う業務に従事する者

が、

  • 委託された児童、
  • 入所する児童、
  • 一時保護が行われた児童

について行う次に掲げる行為をいう。

5.「何が」「何を」「どうするのか」を見つける

もうほとんど見えてきました。

非措置児童虐待とは、「①の人たち」が、「②の人たち」に行う次に掲げる行為をいう。

そしてこの条文に続いて、「次に掲げる行為」が一、二、三、と挙げられています。

一、二、三、で挙げられている「非措置児童虐待等」にあたる行為も、同じように接続詞を変換しながら読むと、具体的にどんな行為なのか理解しやすくなるでしょう。

法令文を実際に読んでみる(例文2)

もう一つ変換しながら読んでみましょう

児童福祉法 第六条の三 

この法律で、児童自立生活援助事業とは、次に掲げる者に対しこれらの者が共同生活を営むべき住居その他内閣府令で定める場所における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援(以下「児童自立生活援助」という。)を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業をいう。

e-Govポータル「児童福祉法」

第六条の三を上にスクロールしてみると、この条文が「児童福祉法」の「第二節 定義」であることが分かります。

そして、条文の一行目に「この法律で、児童自立生活援助事業とは、」とあるので、ここでは「児童自立生活援助事業」の定義が書かれていることが分かりますね。

1.「何が(は)」の部分を見つける

ここでも「が、」が一つ見つかりました。

「が、」の前の部分。「次に掲げる者に対しこれらの者」が主語です。「次に掲げる者」とは、この条文に続いて一、二、で説明されています。

2.文中のカッコ( )と〇条〇項を省いて読む

カッコ( )を見つけて削除すると、このようになります。

省いた後

次に掲げる者に対しこれらの者共同生活を営むべき住居その他内閣府令で定める場所における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業をいう。

3. 接続詞を変換して読む

「並びに」「及び」は読点「、」でしたね。

「その他内閣府令で定める場所」とあるのは、共同生活を営むべき住居に付け足した部分なので、ここでは一緒に省いておきます。

変換前

次に掲げる者に対しこれらの者が共同生活を営むべき住居その他内閣府令で定める場所における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業をいう。

変換後

次に掲げる者に対しこれらの者が共同生活を営むべき住居における相談その他の日常生活上の援助、生活指導、就業の支援を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業をいう。

4. 並列部分を見つける

並列に並べられる部分を見つけて、文脈にそって分解していきます。

この文章では、「が、」より前は並列がなく、「次に掲げる者」のみです。

これに対して「が、」より後の並列は2グループに分かれます。これをそれぞれ①②とします。

「が、」より前の部分

次に掲げる者(この後の一、二で示されている者のこと)

に対しこれらの者(上に同じ)が、

が、より後の部分

①グループ

  • 共同生活を営むべき住居における相談
  • その他の日常生活上の援助、生活指導、就業の支援

を行い、

あわせて

②グループ

  • 児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助

を行う事業をいう

この作業を整えると

見出し

次に掲げる者に対しこれらの者が

  • 共同生活を営むべき住居における相談
  • その他の日常生活上の援助、生活指導、就業の支援

を行い、あわせて

  • 児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助

を行う事業をいう

シンプルに整えると

次にあげる者に対しこれらの者が①の支援を行い、②に対して相談、援助を行う事業をいう。
という構図が見えました。

5.「何が(は)」「何を」「どうするのか」を見つける

この条文をカンタンにすると

児童自立生活援助とは、次にあげる者に①の支援を行い、援助の実施が解除された者にも相談・援助を行う事業のこと。

次にあげる者については、この後に続く一、二の文章で具体的に示されています。

例文によって少しずつパターンが違うので、まったく同じ構図になるわけではありません。
しかし、この手順で変換していくと、前後関係からも大筋の内容をつかむことができます。

私たちは何のために法令文を読んでいるのか

私たちは保育士試験に合格するために法令文を読んでいます。

法律家ではないし、事業を始めようとしているわけでもありません。

大筋が分かって、どんなことが国の法律に規定されているのか、どんな人が対象なのか、どこが管轄しているのかなどが分かればいいのです。

この5つの手順を踏むことで、法令文をカンタンに読むことができるようになります。

ぜひ、保育士試験で頻繁に出題される法令文の理解に役立ててください。

 
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